入館のご案内

 山形県南陽市出身、元大蔵大臣、第15代日本銀行総裁 結城豊太郎翁が欧州を視察された昭和の初頭、英国では市民図書館が発達し、特に農村の人達が余暇を利用して、熱心に学んでいる姿に感銘して帰国され、郷里の人びとのためにもこのような施設が是非必要と考え、自己所有のこの地に、旧薩摩藩御隠居邸の表門(市指定文化財)とともに、自ら週末読書に親しんだ横浜新子安の書屋を移築し、万巻の書籍と所蔵品の一切をそえて、昭和10年4月29日「臨雲文庫」と名付けて開館し当時の赤湯町に寄贈されました。のち、当館は昭和42年4月、南陽市の発足に伴い「南陽市立結城記念館」(旧館)として今日にいたっております。

 南陽市は生涯学習の主要施設として、結城翁と深い御縁の各位の絶大な御理解と御協賛を賜って「南陽市立結城豊太郎記念館」として耐火防災性の高い新記念館を建設し、修身・斉家・治国・平天下を第一義とした郷学興隆の学習の場の実現を見るに至りました。
  結城翁の残された得難い多数の書籍ほか数々の遺品資料類の整理・適正保存と、計画的に展示公開をおこない、広く活用を図って頂き、結城翁の思想信条業績の一端を通して、郷学振興考察の機会としていただければ幸いと存じます。


入館のご案内
開館時間 午前9:00〜午後4:30(入館受付は午後4:00まで)
入館料 無料
休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌日または翌々日)
年末年始(12月29日〜1月3日)
所在地 山形県南陽市赤湯362[Googleマップはこちらから]

館内平面図

ごあいさつ

 結城豊太郎先生は、当時国内有数の読書家として知られ、財政経済金融の専門書は勿論、文学・歴史書を特に愛好、広く新刊書まで読破されたと伝えられておりますが、殊にその根底を儒学を中心とした東洋倫理思想の経学に求められ、安岡正篤先生を最も信頼その卓見に心を温め、三十有余におよぶ長年月、心の友心の支えとされました。

 そして先生は、経済は「経世済民」であるということを不易の信とされ、安田・興業銀行時代、商工中金創業時は勿論、大蔵大臣・日本銀行総裁当時と一貫して業務の遂行改革を厳しく断行されました。然も先生は、他面非常に温かいお人柄で、殊に郷土の人びと等には多忙な中にもお会い下さって、郷里のことを心配され、本当に優しく且つ励まして頂いたのであります。そして寡言な中にも一言一句が心に響き脳裡に刻まれ、先生こそ「修身・斉家・治国・平天下」の道を実践された知・仁・勇三徳兼備の「道」の人でありました。


  文化には本来二つの流れがあると考えられ、一つは学問的科学的な文化であり、さらに人間にとってもっとも大切な心の文化、人間互の心の触れ合いの文化であるといわれております。

館内には結城先生の膨大な遺品が収蔵且つ展示されておりますが、先生の愛用愛読の遺品をご覧戴くとともに、心の文化についてもお考え戴ければ幸いと存じます。


展示・収蔵資料(主なもの)

  1. 書幅 ・ 額 ・ 巻物 (遺墨・著名人揮毫)
    掛軸:104、 額:25、 巻物:20種
  2. 碑文 ・ 法帖 ・ 額 (主に中国著名拓本)
    碑文拓本(原拓)
    興福寺断碑 王義之 後赤壁賦(組) 蘇軾
    三蔵聖教序 王義之 鮑参軍舞鶴賦(組) 名前
    三蔵聖教序 名前 拓本名 岳飛
    多宝塔碑 顔真卿 宋朝四家書 蔡襄
    顔君廟碑銘 顔真卿 蘇軾
    累遷舎人碑 顔真卿 黄庭堅
    玄秘塔碑銘 柳公権 名前
    拓本名 未確定 竹四題 鄭燮
    送紫先生北伐 岳飛 龍飛 康熙帝
    篆書(大字双) 王義之 拓本名 乾隆帝
    草書(大字双) 王義之 寒山拾得 羅聘
    楷書(大字双) 白居易 楓橋夜泊 氏名
    前赤壁賦(組) 蘇軾    

  3. 和装幀本
    漢籍(中国版を含む) 四書(大学・中庸・論語・孟子)
    五経(易経・詩経・書経・春秋・礼記)
    小学、儒家類(呻吟語・龍渓会語ほか)
    類書類 大広益会玉篇、韻府一隅、隷辨、史類 史記、史記評林、史記鈔、資治通鑑、綱鑑易知録、明鑑易知録、十八史略、同纂語字類、歴史綱鑑補、書史会要
    金石類 金石文字、集古録、同検字、叢書類 古文真宝後集、古文釈義、文章軌範、唐宋八家文読本、唐詩選、墨場錦嚢、他
    国学国文学  歴史・遺稿類 文物・国学国文学・稀書珍籍類、国史、遺文遺稿、日本儒学、その他
    文化財 芸術、画帳、画集、鑑定、茶道、他  
  4. 写真帳 (大正初期以降)約400冊
    皇室、神社、歴史、宝物、仏教、遺墨、絵画、織物染色、陶芸、建築ほか日本芸術、公共事業、災害復興、国内産業、軍関係、国内写真帳、外地写真帳、外国写真帳、視察記録、入閣記念、金融、貨幣、教育、郷土、その他
  5. 重要文書類 (戦時財政経済金融関係) 多数
  6. 逐次刊行物 (戦前戦中期)1,800余種
  7. 蔵書、学生時代のノート、書簡類(発翰来翰)
  8. 愛用品・記念品類
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